【今週の眼】佐藤主光 一橋大学教授
さとう・もとひろ●1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

政府は6月に新たな財政健全化計画を含む「骨太の方針2018」を閣議決定した。国・地方を合わせたプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)を2025年度に黒字化させるとともに、公的債務残高の対GDP比を安定的に引き下げることを目標に掲げた。また、19〜21年度を社会保障改革を中心とする基盤強化期間と位置づけた。

しかし、20年度のPB黒字化目標が5年先送りされたこと、社会保障費の伸びについても「一律ではなく柔軟に対応する」として、具体的な数値目標を設けなかったことから、財政再建が後退したと受け取る向きも少なくない。

そもそも、3%の経済成長などPB黒字化に向けた経済見通しは楽観が過ぎよう。仮に3%成長を実現するため、規制緩和や働き方改革など一層の構造改革を推し進めるならば、改革の原動力になるかもしれない。

他方、高い成長率を当然視するならば、痛みを伴うような改革をしなくても「何とかなるさ」という風潮が強まり、骨太の方針が掲げる「経済成長と財政を持続可能にするための基盤固め」にもつながらないだろう。「何とかなる」という楽観的な認識を与えてきたのは経済見通しだけではない。