なかぞら・まな●1991年慶応義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所に入社。97年野村アセットマネジメントでクレジットアナリストに。社債や国債を分析。モルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券を経て、2008年10月からBNPパリバ証券クレジット調査部長。11年から現職。(撮影:尾形文繁)

ドイツは経常収支の黒字が名目GDP(国内総生産)比8%もある経済大国の優等生だ。それが、今年3月のアンゲラ・メルケル政権4期目入りから、どこかちぐはぐになっており、今や病にかかりそうだ。問題を列挙する。

第一に、連立政権の不安定さである。与党間の移民政策に関する見解の相違から、6月末には連立崩壊の危機に瀕した。メルケル首相のCDU(キリスト教民主同盟)は比較的鷹揚な移民政策を取るが、その姉妹政党であるCSU(バイエルン州のキリスト教社会同盟)の見解は厳格だ。CSUのホルスト・ゼーホーファー党首(現内務相)は「ほかのEU(欧州連合)加盟国ですでに審査を受けた難民がドイツに移動することを拒否し、国境で送り返す命令をバイエルン州において発動する」という要求をメルケル首相に突き付けた。

首相は、ゼーホーファー氏と協議の末、問題に厳格に対処し、そうした移民を送還することで合意し、内務相は閣内に残ることとなった。当面の衝突は回避したものの、首相が譲歩を余儀なくされたこと、与党内にポピュリズムが芽生えたことなど、先行きに問題を残した。