超小型EVに乗る伊藤慎介代表。現在、開発は休止している(撮影:田所千代美)

起業には失敗が付きものだ。メルカリのような巨大ベンチャー企業が生まれる一方、事業化に失敗し行き詰まる会社も数多く存在する。

「起業には多くの苦難があることも知ってもらいたい」と話すのは、布製の超小型EV(電気自動車)を開発するリモノの伊藤慎介代表だ。

伊藤氏は、もともと経済産業省でEVやスマートグリッドなどのプロジェクトを担当する公務員だった。ただ「5年間のプロジェクトは途中で担当者が代わり、2~3年で形骸化する。世界のイノベーションの流れに、日本だけが取り残される現状を変えたい」と、2014年9月に独立。元トヨタ自動車のデザイナーとともに、リモノを設立した。

13年に国土交通省が「超小型モビリティ」の認定制度を発表。高齢運転者による事故や地方での公共交通機関不足が今後深刻になり、超小型EVの需要が高まって市販化できると伊藤氏は踏んでいた。布製の車体を開発するために、三井化学や帝人フロンティアの技術者も手弁当で参画。16年5月に、需要が大きい二人乗り超小型EVの試作品を完成させた。

ところが、そこに法制度の壁が立ちはだかる。二人乗りの超小型EVは、トヨタをはじめ複数の大手自動車メーカーも開発していたが、専用の車両規格がなかった。国は自治体ごとに走行を認める認定制度を創設していたが、認定されていない隣の自治体に入ると走行できなくなるなど、現実的なものではなかった。

経営危機に陥るベンチャーの3つの壁

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