東京五輪が開催される2020年を境に、多くの自動運転車が公道を走り出す──。日本政府はそんな未来を描く。

6月15日、政府は「官民ITS構想・ロードマップ2018」で20年をメドに「レベル3」の自動運転車(基本的には自動運転システムが運転を行うが、システムが作動困難なときは運転者が対応する車)を市販できるようにするという目標を示した。同じく20年までに過疎地など限定地域での無人自動運転移動サービス(レベル4)の開始も目指す。

自動運転車の実証実験は全国各地で進んでいる。各省庁と自治体や大学、自動車メーカー、IT企業、損害保険会社などの参画の下、これまでに40回に及ぶ実験が行われている。トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなど国内の主要メーカーも20~25年の市場投入をメドに自動運転車の開発を加速する。

国が官民挙げて自動運転車の普及を推進する最大の狙いは、自動車事故の削減だ。特に高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違い事故が多発する日本で、自動運転車への期待は大きい。

現状、自動ブレーキの新車への搭載率は16年で約6割に達し、前の車との間隔を維持するACC(車間距離制御装置)の搭載率は約4割まで上昇している。これらのおかげで、12年に約23万件あった追突事故は17年に17万件弱へ約3割も減っている。自動運転のレベルが上がれば、事故はもっと減少するとみられる。

このほか過疎地での無人自動運転移動サービスや、高速道路におけるトラックの無人隊列走行など物流事業者のドライバー不足解消の一助としても、自動運転技術への期待は大きい。

しかし、技術が進んだとしても、自動運転車が“絵に描いた餅”になりかねない深刻な課題がある。現状の法制度や交通ルールが20年以降のレベル3以上の自動運転車実用化を想定した内容になっていないうえ、法改正や新たなルール作りがあまり進んでいないからだ。自動車メーカーも「法的整備が不可欠。政府の主導を期待している」(日本自動車工業会の西川廣人前会長の会長会見)と待ちの状態だ。

事故の刑事責任を誰にも問えない