米国最大の自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)が今年秋に販売を開始するピックアップトラック「GMCシエラ」の新型モデル。3月初旬にデトロイトで開かれた発表会で注目を集めたのは、軽くて強い先端軽量素材として知られる炭素繊維の複合材を採用したことだった。

ピックアップトラックは米国の農家や郊外居住者に人気が高く、「シエラ」シリーズは全米で年間20万台近い販売台数を誇る戦略車種。GMはその最上位モデル「シエラ・デナリ」のオプションとして、ボックスベッドと呼ばれる荷台部分の床・側面に業界で初めて炭素繊維を用いた。

荷台の床・側面に帝人の複合材を使用(GM公表図を本誌が簡略化)

大型車のピックアップトラックはガソリン消費量が多く、環境規制などで大幅な燃費低減を迫られている。炭素繊維を採用した荷台の重量は鉄製だった前モデルよりも25%軽い。素材自体の先進性も大きな売りで、GMは「カーボン製ボックスベッドはへこみにくく、傷のつきにくさや耐腐食性でもクラス最高レベルを実現した」と大々的にアピールしている。

GMが採用したのは、帝人の「熱可塑性の炭素繊維複合材」だ。帝人とGMは2011年に技術提携し、この新タイプの複合材を量産車に搭載すべく共同開発を進めてきた。ようやく品質や量産性などの高いハードルをクリアし、今回の採用が実現した。

炭素繊維複合材製の荷台は業界初。GMは新型モデルの発表会で強度の高さなどをアピールした(©GM)

その新型モデル発表会のおよそ1週間後、炭素繊維業界の最大手、東レからビッグニュースが飛び出した。1200億円超の巨費を投じて、欧州の企業を年内に買収するという内容だ。買収の記者会見では、東レ幹部が何度も「熱可塑」という単語を口にした。

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