医療の分野でAI(人工知能)を診断や治療に役立てようとする研究が加速している。今年4月に設立された日本メディカルAI学会の浜本隆二代表理事に聞いた。

はまもと・りゅうじ●1970年生まれ。2016年、国立がん研究センター研究所分野長、東京医科歯科大学連携大学院教授併任。17年から理化学研究所革新知能統合研究センターチームリーダー兼任。(撮影:尾形文繁)

──学会設立の目的は何ですか。

究極の目的は、ゲノム(遺伝情報の全体)などのマルチオミックスデータ(生体分子の網羅的情報)の統合的解析に基づいた、プレシジョンメディシン(個別化医療=患者一人ひとりに最適な治療)の提供体制を整備することだ。

国立がん研究センターではゲノム情報に基づく医療が始まっているが、医学とAIの融合が重要だ。新しい研究は分野が細分化し、そのままでは大きな目的を見失いがちだ。統合的な医療ビッグデータの構築と活用のために、多様な分野の英知の結集を目指した。

──医療AIで何ができますか。

現在は機械学習技術、特に深層学習(ディープラーニング)技術を用いた医療データの解析が中心だ。指示した処理の実行だけでなく、学習したことを基に推論するという、人間的な振る舞いも可能になっている。膨大な蓄積のある過去の医療情報やゲノム情報などの医療ビッグデータを学習させて診断に生かす。中でも、画像データを使う病理、放射線、内視鏡の分野が先行している。

──AIが診断するのですか。