イラスト:河南好美

定年を迎えたら自分のやりたいことで起業し、ずっと働き続けたいというシニアが増えている。ただ、つまずいてしまうケースも少なくない。

最も多い失敗が、会社員時代の感覚のまま起業し、顧客獲得に失敗するパターンだ。同じ会社で何十年も働き会社頼みだった人が、いざ起業してみると会社の看板なしでは何もできないことに気づき愕然とすることは多い。

また、起業後も会社員時代の気分が抜けず、新しい取引先や年下の顧客に大きな態度を取ってしまう人もいる。その結果、「偉そうな人」と判断され、遠ざけられてしまう。無用なプライドは捨てて「個」としての自分を客観的に見つめ直すことが欠かせない。

「やりたかったことを自力でやってみせる」と、会社に三下り半をたたきつけ、まったく畑違いの事業に身を投じる人もいる。しかし、まったく経験のない分野でシニア世代が成功するのは厳しい。業界経験のないシニアが、「理想の飲食店を作りたい」と店舗を出し、短期間で撤退した後に借金の山が残ることも少なくない。

会社員時代のプライドは捨てたほうがいいが、築いた商流や人脈、得たスキルは大切なアセット(資産)であり、捨て去るのは得策ではない。在職中から取引先や業界とのかかわりは大切にメンテナンスしておきたい。辞める会社には思うところがあっても、良好な関係を残すべきだろう。