(kelly marken / PIXTA)

人手不足が続くので、転職や再雇用で定年後も逃げ切れる──。そう考えているとしたら大間違いだ。現実はそう甘くない。

高齢者の就労支援を行うマイスター60の井口順二シニアビジネス事業部長は、60歳以後の転職は「資格や経験が豊富な技術職の求人は多いが、事務系の求人は少なく、しかも求職者が多いので狭き門。普通のゼネラリストタイプは厳しい」と指摘する。井口氏自身、大手通信系企業の子会社の役員を61歳で定年退職。再就職活動を始めたが「どこにも受からず7社目で今の会社に入ったが、仕事探しのむなしい日々は今も忘れられない」という苦い経験を持つ。

多くの人は高年齢者雇用安定法の雇用確保義務による企業の再雇用制度で定年後も働いているが、こちらも決して甘くない。平均年収は約344万円(産労総合研究所調査)と現役時代の半分程度に下がるうえ、役職から外れ、仕事の中身についても現場の一兵卒として働く人が多い。

それでも今では大手企業社員の90%が再雇用を選択する。パソナマスターズの白石哲子副社長はその理由を「転職の経験がないうえ、福利厚生も充実し、何より『どこにお勤めですか』と聞かれて大手企業にいると答えられる安心感がある」からと指摘する。