北朝鮮が「非核化」を約束した。そして経済再建に取り組もうとしている。しかし、その前途は楽観できるものではない。

6月12日、金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長はトランプ米大統領と史上初の米朝首脳会談をシンガポールで行った。その共同声明では「北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力することを約束する」と明記された。しかし、非核化を検証する方法や期限は示されなかった。本当に非核化はなされるのか。それは今後の米朝による実務対話の進捗に懸かっている。

こうした不確定な状況であるにもかかわらず、韓国は北朝鮮との経済交流を前のめりに推し進めようとしている。人口7500万人を擁する「統一」朝鮮半島がもたらす経済効果を狙ってのことだ。

米朝会談に先立つ4月27日に行われた南北首脳会談での「板門店(パンムンジョム)宣言」では、韓国と北朝鮮の間で経済協力を進めることが記され、具体的な経済協力案も議論され始めた。その中心にあるのが、韓国大統領に昨年就任した文在寅(ムンジェイン)氏が大統領選挙のマニフェストなどで明らかにした「朝鮮半島新経済地図」だ。

朝鮮半島の西(黄海)側と東(日本海)側を経済ベルトとし、その双方をつなぐ北緯38度線沿いの「接境地帯」も含めた三つの軸を中心に、経済開発を行うというもの。南北が統一するため、あるいは統一までいかなくても経済交流を深化させるために、まず鉄道や道路を南北で連結しようという構想だ。

実現すれば、朝鮮半島から中国、ロシアを経由してユーラシア大陸を横断し、欧州まで結ばれることになる。物流はもちろん、さまざまな経済交流が生まれ、朝鮮半島の世界での位置づけにも一大変革をもたらすことになる──。現在は北緯38度の軍事境界線によって島国のようになっている韓国にとって、この構想は新たな国づくりの理想でもある。

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