ついに「歴史的会談」が実現した。6月12日・シンガポールでの米朝首脳会談である。

とにかく前後数日はメディアが大騒ぎ。とりわけウンザリしたのは、「歴史的」という言辞である。この表現はやめてほしい、と小欄第72回で書いたこともあったが、誰も耳を貸してくれない。

会談そのものにも、関心がもてなかった。そもそも韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領がお膳立てしたもので、下心は見え見えである。かつての韓国左派政権も実現させてきた南北会談が、いわばそのテコだった。

成果は何もなかった

「歴史的」には何の成果もなかった南北会談である。その延長戦というべきか、拡大版というべきか、米国を引っ張り出してきたのにはいささか驚いたものの、米国のトランプ大統領が本気でとりくむとも思えなかった。

根本的な利害の異なる双方が、会って何を話すのか、何か合意できるのか。何のために会談するのか。当事者の米・朝とも、考えあぐねていたように思われる。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長はにわかに訪中し、朝鮮中央通信の対米言説も、二転三転した。トランプも一度は会談中止を通告し、相手の出方を探ったのである。