よしの・あきら●1972年京都大学工学研究科修士課程修了、旭化成(旧旭化成工業)入社。イオン二次電池事業グループ長、電池材料事業開発室室長、グループフェローなどを経て2017年から現職。(撮影:梅谷秀司)

私がリチウムイオン電池を発明して特許を取ったのは1985年のこと。これが将来自動車を動かすようになるなど、みじんも想像していなかった。

当時、旭化成の研究員だった私のミッションは、ソニーのデジタルカメラやビデオカメラ向け電池を作ることだった。デジカメは画素がフィルム写真に劣る一方、連写できる。だが、当時一般的だったニカド電池で連続フラッシュをたくと、たちまち電池が劣化してしまった。そのため、小型・軽量で高容量な電池を新しく作る必要に迫られていた。

そこで生まれたのがリチウムイオン電池だ。正極にコバルト酸リチウム、負極に炭素を用い、その間をリチウムイオンが行き来することで蓄電池となる新しい仕組みだった。ソニーとリチウムイオン電池を商用化するプロジェクトは紆余曲折の末中断したが、91年にソニーが自前で生産にこぎ着けた。それが今や生活に欠かせないものになっていることはうれしく思う。