なかたに・いわお●米ハーバード大学Ph.D.。一橋大学教授、ソニー社外取締役、多摩大学学長等を経る。現在は三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長、「不識塾」塾長。(撮影:尾形文繁)

平成はグローバル化が著しく進展した時期だった。米国は巨額の貿易赤字で流出したドルを金融商品の輸出で回収するため、グローバル化を強力に推進した。そして国も企業も構造改革の大合唱に振り回された。日本企業は、本格的に海外に進出し、グローバル経営の難しさに直面した。文化も言語も異なる外国企業の経営者との本音の対話は、想像以上に厳しいものだった。

自由貿易にはメリットもあるが、各国産業の栄枯盛衰は激しくなった。輸出競争力を持った産業はグローバル市場で成長したが、そうでない産業は急激に衰退していく。グローバルに活躍できるエリートは所得機会が増えるが、ローカルな労働者は激しい競争にさらされ、疲弊していく。この分配の議論をしないまま自由貿易を推進すれば、摩擦が生じるのは当然だ。