憲法論議においてよく、フランス革命の文脈から立憲主義が語られる。だが日本は専制君主を制御するために憲法が作られた国ではない。独自の慣習の中から法体系、憲法体系ができ上がった国である。日本の立憲主義の原点には、「のり」があるのである。

憲・法・典・規・律・範・則。これらの法律用語はすべて「のり」と読める。動詞の「宣(の)る」の連用形が名詞化したもので、意味としてはきまり・しきたり・手本・模範・人としての道理・仏の教えなどだ。さらに憲法・法典・法律・法規・法則・典範・規律・規範・規則など、これらすべて「のり」を2回重ねるほどだ。

なぜか。それを読み解くヒントは、春になると日本中の村々で行われる神社の祈年祭にある。その年の農作物の豊穣を願い、神様に祭りの趣意を申し上げるため祝詞(のりと=宣り言)が奏上され、そしてそこに集う村人たちも神様のご加護があるよう祈り(いのり=意を宣る)をささげる。ここでも、祝詞は「のり」であり、祈りも「のり」なのである。

祈年祭祝詞の一説を意訳すると下記のようになる。