第1次安倍内閣でも秘書官を務めた今井尚哉氏(左)(毎日新聞社 / アフロ)

「僕は自分自身が二つの矛盾した役割を担っていると考えています。一つは、政治家の横暴から役人を守ること、もう一つは役人の怠慢から政治家を守ること」──。

去る4月23日、筆者が「官邸官僚の研究」(『文藝春秋』6月号)で行ったインタビューの最後、今井尚哉(59)は、そう締めくくった。2012年12月の第2次安倍晋三政権発足以来、首相の政務秘書官を務め、首相の分身どころか、今や“首相の化身”とまで呼ばれる首相官邸最高権力者の一人だ。

時に無理筋をゴリ押しする国会議員をいさめ、時に手抜きをしがちな官僚を監視する。首相のそばで政策実現に邁進する秘書官の心構えとして、そうあるべきなのは異論のないところだろう。

だが、永田町や霞が関における現実の政治が、今井の理想どおりになっているかといえば、そうではない。森友・加計問題に象徴されるような欺瞞や無理筋がまかり通り、行政機関の体を成していない事態が続出してきた。取材を通じて強く感じたのは、官邸と官僚機構の間の溝であり、軋轢だ。