リアルのフリーマーケットと同様に、メルカリでは個人出品ならではの“宝探し感”を重視している。写真はメルカリがユーザーを集め定期的に開催しているリアルイベントの様子(写真:メルカリ)

永続的な「所有」から、一時的な「利用」へ――。メルカリは、日本人の消費スタイルそのものに変化をもたらしている。同社が今年3月に行ったアンケート調査によれば、中古品を購入・使用することに抵抗を感じるかという質問に対し、20代男女の過半数が「まったく感じない」「あまり感じない」と回答。衣料品や小物はもちろん、化粧品のような消耗品でも“新品志向”は薄れつつあることがわかった。

「購入前に再販価格を調べるようになった」「タグや付属品を保存しておくようになった」「売るときのことを考え大切に扱うようになった」。フリマアプリの利用者の声からは、具体的な行動変化も見て取れる。また、「売ることを前提に、少し値の張るブランドにも手を出すようになった」と、新品市場にプラスに働くような傾向も出てきている。

「これまでは、まずメルカリ自体を認知してもらい、ダウンロードにつなげるということが最重要だったが、ステージが変わってきた。最近ではマーケティング戦略の重点が、『こんな使い方もあるんだ』『こんなモノでも売れるんだ』といった気づきを得てもらうことに移ってきている」。メルカリで国内事業を統括する小泉文明・社長兼COO(最高執行責任者)はそう語る。

今年5月から放映しているCMでは、子供服はすぐ着られなくなるからと買うのを諦める母親に対し、メルカリで買ったり売ったりすることで解決できることを具体的に伝える内容だ(写真:メルカリ)

実際、テレビCMなどにおけるメルカリの打ち出し方は、ここ1年ほどで大きく変わっている。かつてはサービス名を強く印象づける内容だったが、最近ではすぐにサイズが合わなくなる子供服や、ゴルフクラブ、書籍、サーフボードといった男性系の趣味品など、具体的なアイテムを例に出品方法を指南するような形式が用いられるようになった。

国内メルカリの成長余地

今や誰もが知るサービスとなったメルカリ。直近で国内の月間利用者数は1000万人強、年間流通総額(取扱高)は3000億円強に達している。2018年6月期の国内事業は、第3四半期までで売上高246億円(前年同期比67%増)、営業利益50億円(同16%増)。国内では高収益モデルを確立しつつある。

経済産業省が昨年4月に発表した試算によれば、実店舗での売買も含めた中古品市場(自動車、バイク等を除く)は2.1兆円、中古市場に出回っていないものも含めた不要品の推定価値は7.2兆円に上る。メルカリにはまだまだ広大なフロンティアが残っているといえそうだ。

だが、このまま急成長を続けられるかには疑問もある。フリマやオークション、ネット通販(EC)サイトの情報解析を専門とするオークファンの田島宜幸執行役員は、メルカリの当面の成長余地について「流通総額で年間6000億円程度がひとつの目安になるのでは」と見る。これは現在の2倍近い水準だ。だが、メルカリと同じC to C(個人間取引)市場で先行するネットオークション国内最大手「ヤフオク!」の流通総額(年間9000億円超)に遠く及ばない。

メルカリとヤフオクの差はどこにあるのか。最も顕著なのが、1取引当たりの単価だ。オークファンの分析(2017年5月時点)によれば、メルカリの流通総額の多くが、1万円未満、特に3000円未満の取引に集中している。昨年8月に投入したブランド品特化型のフリマアプリ「メルカリ メゾンズ」などによって、直近では若干単価が上がっているようだが、それでも全体の60%程度を1万円未満の取引が占める構造に変わりはない。

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