6月19日、メルカリの上場セレモニーが東京証券取引所で行われた。前列左から2番目が米国メルカリのジョン・ラーゲリンCEO、同3番目がメルカリの山田進太郎CEO(撮影:梅谷秀司)

「上場を通じて、メルカリが成し遂げたいこと。それはテックカンパニーとして世界を目指すことだ」

6月19日、メルカリが東証マザーズ市場に新規上場した。東京証券取引所に姿を見せた同社の山田進太郎CEOは、報道陣を前に晴れやかな表情で上場初日の思いを語った。

メルカリ株は初日から高い成長性に期待した個人投資家の資金が流入し、午前11時過ぎに5000円の初値をつけ、公開価格の3000円を大きく上回った。最終的には5300円で取引を終え、時価総額は7172億円となった。今年のIPO(新規株式公開)で最大規模であり、マザーズで時価総額首位だったミクシィ(約2300億円)の遙か上を行くなど、華々しいスタートを切った。

今回の上場でメルカリは600億円超を調達。重点投資分野として、「人」「テクノロジー」「海外」を挙げる。最重要課題となるのが、米国市場の攻略だ。

「米国という多様性のある巨大市場で、サービス水準をシリコンバレー級に引き上げられれば、(米国以外の国を含む)世界に挑戦するためのカギになる」。山田氏とともに上場会見に登壇した米国メルカリのジョン・ラーゲリンCEOはそう話した。ちょうど1年前、米グーグルや米フェイスブックなどで要職を歴任した“超大物”である同氏を引き抜き、メルカリは国内外の業界関係者を驚かせた。米国事業の命運は、ラーゲリン氏が握っているといえる。

米国進出から4年、認知はまだまだ

フリマ市場は“勝者総取り”、あとは2位も100位も同じ――。そう見極めたメルカリは、海外進出の動きも早かった。「C to C(個人間取引)の世界市場は、日本の10倍はある」(山田氏)。同社は日本でのフリマアプリの投入からわずか半年後の2014年1月、米国法人を設立。同年9月には米国版アプリの提供を始めた。

だが現状は、日本事業のように順風満帆ではない。米国版アプリのダウンロード数は日本の約半分、流通総額は日本の10分の1以下という水準だ(詳細は連載第1回:メルカリ、真の実力を示唆する「4つの数字」 に記載)。実際、現地でメルカリの存在感は極めて薄い。昨年メルカリが行った市場調査でも、全米のスマートフォンユーザーにおけるサービス認知度はわずか5~7%だった。

米国向けの現地化の一環として、メルカリアプリのユーザーインターフェースを大幅に刷新した(写真:メルカリ)

新しいアプリやサービスに敏感な現地の若年層から聞こえてくる声だけを取っても、メルカリの課題多き現実がわかる。

「周りでメルカリの話をしている人はほとんどいない」(20代女性、ロスアルトス(シリコンバレー近郊)在住)

「(対面でやり取りする個人間取引サイト大手の)『クレイグスリスト』や、フェイスブックの(フリマ機能である)『マーケットプレイス』を使っているが、メルカリは聞いたことがない」(20代男性、サンフランシスコ在住)

「メルカリは聞いたことがあるが、使ったことはない。似たようなサービスはたくさんあるが、やはりクレイグスリストを使っている人が多い」(20代女性、ロサンゼルス在住)

2017年6月期の決算では、メルカリ本体の損益計算書において米国事業にかかわる関係会社株式評価損約100億円を計上した。これは同期末までの事業価値や今後追加的にかかる費用を再精査した結果だ。米国メルカリは、“仕切り直し”の転換点を迎えたわけだ。

ロゴが赤から青になった深い理由

ラーゲリン氏が入社早々に着手したのが、米国版サービスにおけるブランディング全般の抜本的な見直しだ。アプリアイコンやサービスロゴは、ポップな赤い箱のデザインが目を引く日本のものとはまったく異なる、「MERCARI」というサービス名や「M」の文字を強調したクールな印象のデザインを新たに採用した。