週刊東洋経済 2018年6/16号
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»»Part1 賭けに出た武田薬品

浮かび上がる財務リスク 7兆円買収の前途多難

買収を発表するクリストフ・ウェバー社長(右)。取締役会議長の坂根正弘・コマツ相談役(左)も支持を表明(撮影:風間仁一郎)

「なぜシャイアー社の買収を検討するのでしょうか?それは、シャイアー社の買収は当社の変革を加速させるものだからです」。武田薬品工業は6月28日の定時株主総会を前に、世界中の25万を超す株主へクリストフ・ウェバー社長CEO(最高経営責任者)からの「社長レター」を送ったことを6月2日に公表した。

武田は5月にアイルランドに本社を置く製薬大手シャイアーを買収することで基本合意している。金額は国内のM&A(企業の合併・買収)史上最高の6.8兆円。成功した暁には、売上高は3.4兆円となり、世界トップ10のメガファーマ(巨大製薬会社)の仲間入りを果たす。

武田にとって株主総会は鬼門だ。2014年にはウェバー氏の社長就任をめぐってOBなど一部株主が反対する趣旨の質問状を提出。昨年は長谷川閑史(やすちか)前会長の相談役就任に反対するため、相談役や顧問を廃止する株主提案がなされた。今年も大型買収に当たって取締役の権限に一定の制限を設ける株主提案がすでに行われている。

武田が買収を実行するには、年末の開催が予想される臨時株主総会で3分の2以上の賛成が必要になる。前哨戦となる今回の総会でも圧倒的な支持を得ておきたい。そのための一手が社長レターだ。

パイプラインを強化 成長への「時間稼ぎ」

7兆円もの大金を払って買収する背景には、武田の苦境がある。

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