経験の豊富なシニアだからこそ、若い企業に伝えられることがある(写真:stockstudioX/iStock)

窮地を脱して再成長軌道に乗ったグリー。本「プレミアム集中連載」では、この変革を主導した水野省三・経営管理本部長が「実践的なノウハウ」を伝授してきましたが、今回(第7回)が最終回となります。

〜連載インデックス〜
第1回(6月18日公開)  グリーは、どうやって窮地を抜け出したのか
第2回(6月21日公開)   「見える化」の徹底が正しい行動に繋がる必然
第3回(6月25日公開)   PDCAサイクルのポイントは「精度」と「速さ」
第4回(6月28日公開    経理財務部門の武器は「管理会計システム」だ
第5回(7月2日公開)   事業部門の管理レベルが会社の強さを決める
第6回(7月5日公開)   グリーは資金重視の経営で財務を改善させた
第7回(7月9日公開)   経営に「緊張感」をもたらす資本市場との対話

経営に対する緊張感の醸成

私がパナソニックの財務部長をしている時に、Panasonic IR Dayの開催を提案し、1日かけてアナリスト・投資家に対する事業戦略の説明会を始めるようになりました。社長やCFOだけが説明するよりも、事業責任者自ら資本市場とコミュニケーションをすることによって、社内外両面から企業価値向上に大いに役立ったと思います。

入社当時グリーは社長と管理担当役員の2人だけの決算説明会をしていましたが、すぐに事業責任者にも同席してもらい、質疑応答に参加してもらうようにしました。資本市場に対峙して、説明責任を果たしたり、コミットすることで経営に対する緊張感の醸成ができたと思います。また、こちらから発信するだけでなく、資本市場の声を受け、経営に生かす「双方向コミュニケーション」ができるようになりました。今では事業担当役員が決算説明会とは別に単独でIRを行い、戦略の説明を行ったりしています。内部の論理から脱却し、「複眼思考」で事業を見ることができる会社に変わりました。

資本市場の声を受け、経営に生かす「双方向コミュニケーション」ができるようになった(筆者作成)

IR活動全体も攻めに転じています。業績回復に伴い、ミーティングの数は増加しています。アナリストの訪問を受けるだけでなく、投資家を直接訪問して積極的に事業戦略を説明しています。また、株主判明調査を行い、ターゲットを定めた海外IRも再開しました。今後とも資本市場とのコミュニケーションを増やし、企業価値向上に役立てたいと考えています。

「人材育成」

パナソニックでは「事業は人なり」で、人材育成の重要さを叩き込まれました。「教育は最も長い時間を要するが、確実な投資である」と言われます。私もこの4年余り「自分の仕事の半分は人材育成」と思って経営管理本部メンバーの育成に取り組み、「経営改善のアクションを起こす」ことのできる人材が育ってきました。

人材育成の基本は「OJT」で、「目標を設定し、動機付けを行い、熱意ある指導で、結果をフォロー」します。「啐啄同時(そったくどうじ)」という言葉がありますが、部下の向上心と上司の育成マインドが同期化すれば、人は育ちます。また、「気づき」のある人は成長します。ただ、自ら気づくことができない部下には、上司が気づかせてあげることがとても大事です。