グリーでは、わざわざ部下に頼まなくても自分で簡単に決算分析ができるツールを使っている(写真:NicoElNino/iStock)
窮地を脱して再成長軌道に乗ったグリー。本「プレミアム集中連載」は、この変革を主導した水野省三・経営管理本部長が「実践的なノウハウ」を伝授します。今回は連載の第4話となります。

第1回で、私が入社した直後のグリーの印象は「まるで映画館入場直後の、真っ暗で何も見えない」状態だったことをご説明しました。それを解決すべく「経営の見える化」に取り組みましたし、「先を読み、アクションを起こす会社に変身」しましたが、その原動力になったのが、3カ月かけて作った管理会計の仕組みでした。

仕組みづくりは「シンプル イズ ベスト」

私が仕組みづくりをする時にいつも意識するのは「シンプル イズ ベスト」です。具体的なキーワードは「管理の標準化」「データの一元化」「シームレスなシステム」です。私が入社した時のグリーはその思いとは対極にある状況でした。急成長に管理が追いつかないうえに、国内海外の買収や新設による子会社もあり、管理方法もシステムもばらばらでした。システム作りでよく起きる過ちは、管理の標準化をしないまま現状にあわせたり、ユーザーニーズを鵜呑みにしてシステム作りをしてしまうことです。ゼロベース思考で過去の諸々の管理方法やシステムを一掃しました。

「管理の標準化・データの一元化」のイメージ(筆者作成)

実際に会計システムを作る時に意識したのは、「財務会計と管理会計の一体化」です。私は時々外部の研修講師を依頼されますが、受講生からよく聞く声は「財務会計と管理会計の数字がなかなか一致しない」「財務会計チームの決算終了後、管理会計チームが部門別収支作成をExcelで時間をかけて行っている」というものです。

グリーでは共通部門固定費などのさまざまな配賦計算も自動化しており、配賦ドライバーを担当部門が入力すれば自動仕訳が発行されますし、広告宣伝費のゲーム別振替仕訳等管理会計に必要なものはすべて仕訳発行を行いますので、決算が終了してから管理会計のために何か作業をするということはありません。単独決算は締め後5営業日で、連結決算は7営業日には完了し、その時点で管理会計の数字もすべて確定しています。

管理会計のデータベースが完成して、具体的に部門別P/Lのような帳票を作成するときに、使用していた基幹系のERPでは見やすい帳票ができず、その後のフレキシブルな変化への対応も難しいと判断して、独自開発することにしました。本部内のビジネス・インテリジェンスグループがERPの会計データを取り込んで、設計した帳票にマッピングをしたので、とても見やすく、使い勝手のいいユーザーフレンドリーな仕組みとなりました。

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