決算や支払いをするだけの経理財務では、社内に組織を持つ意味がない(写真:AndreyPopov/iStock)

筆者が経理財務部門の社員たちに繰り返し言っているのは、「経営改善のアクションを起こす」ということです。決算や支払いをするだけの経理財務では、社内に組織を持つ意味がありません。それでは、どのようにすればアクションを起こせるのでしょうか。

経営改善のアクションを起こすためには、経営のPDCAサイクルを精度高く速く回す必要があります。

経営のPDCAサイクルを精度高く速く回す(図:筆者作成)

「着地見通し」から戦略立案し、「アクション」を起こし、早い決算で実態を把握し、前回見通しとの乖離を分析して、次の「改善策」を実行し、見通しの精度を上げていく、というサイクルです。

「決算検討会」から「着地見通し検討会」へ

筆者が入社した時のグリーは、急成長に管理が追いつかず「当月の売り上げしか読まない会社」でした。ゲームの日々のKPIの分析力やそれに基づく運営力はすばらしいと感心しましたが、P/L B/Sに関連する経営指標はほとんどありませんでした。また、ボラティリティが高いということも一因ですが、先を読むのも当月だけで、月初の初速を見てから当月の売り上げを読みに行くのがその時の経営のやり方でした。

結果、決算をすると、広告宣伝費や外注費など想定外の費用が発生して、開示した業績予想を大きく狂わせるというようなことが起きていました。

「このままではだめだ」ということで、決算検討会を始めていましたが、管理会計の仕組みが整備されていなかったために、部門別収支の合計値と財務会計が不一致というひどい状態。人海戦術のExcel作業で資料の間違いも多く、決算検討会を開催するのが、ほぼ翌月末になっていました。前月の結果を1カ月後に知ったところで次のアクションにはつながりません。

まず着手したのは「決算の効率化・早期化」です。詳細は省略しますが、

1. 財務会計管理会計一体化の会計システム構築
2. ワークフロープロセスの簡素化
3. 海外会社決算の効率化
4. 経理社員の教育等

が奏功し、単体決算は 5営業日に、連結決算は 7営業日に、財務会計・管理会計を同時完了できるようになりました。ビジュアルに部門別経営実態がわかり、信賞必罰につなげることのできる「経営の見える化」ができるようになるまで半年間かかりました。

入社して9カ月経過した頃、四半期の着地見通しの部門別P/Lが精度高くスピーディに作成できるようになり、毎月中旬に「着地見通し検討会」を開催するようにしました。会議体の名称は「月次戦略会議」略称「MSM」(monthly strategic meeting)で、私が全社の概要と課題を説明した後、各部門責任者が着地見通しP/Lと事業課題・対応策を報告して、議論を行います。

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