共働きは増えているが、課題も多い。足かせとなっているものは何か。国や企業はどこから変わろうとしているのか。働きやすい企業として著名なサイボウズの青野慶久社長に聞いた。

あおの・よしひさ●1997年サイボウズ設立。社内の働き方変革を推進し、離職率を7分の1に低減。自身も3度育児休業を取得。(撮影:梅谷秀司)

──夫婦共働きを続けやすい時代に向け、社会の変化のスピードをどう評価しますか。

今のような変化が日本の巡航速度かもしれないが、本来ならばもっとスピードを速めるべき。遅すぎるというのが実感だ。 

変化を妨げているのは、共働きで子育てしながら働く文化が社会に十分許容されていないことだ。私も若い頃は、結婚すれば妻が専業主婦になって当然と考えていた。社会に根付いた価値観を変えるには時間がかかるのだろう。

──価値観は変わりますか。

そもそも男性と女性の活躍というのは表と裏の関係。「女性活躍」を掲げるなら「男性非活躍」を受け入れる必要がある。男性が働き方を変えず、女性活躍だけを推進しようとしても進むはずがない。

男性側の意識を会社の外に移すには、女性側も男性に対する見方を変える必要がある。自分より年収が低い男性や、仕事よりも家事・育児を重視するという男性がもっと受け入れられるべきだ。

──まず取り組むべきことは。

経営トップの意識を変えることだ。人手不足の今はトップの意識を変えるチャンスだ。

わが社は1997年に創業したが、2005年ごろに社員の大量離職に見舞われた。これは、今多くの企業が直面している人手不足と同じ状況。私にとってはそのことがショック療法となり、優秀な人材に残ってもらうには社員の働き方を変えなければいけないと意識を変えた。