構造改革の最も熱心な支持者だった1990年代から、新自由主義への猛烈な批判者に──。経済学の理念と現実との乖離に苦悩した平成期を、著名エコノミストが回顧する。

なかたに・いわお●米ハーバード大学Ph.D.。一橋大学教授、ソニー社外取締役、多摩大学学長等を経る。現在は三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長、「不識塾」塾長。(撮影:尾形文繁)

平成という時代は、バブルに始まり、バブルに終わろうとしている。それは、世界史的に見ても特異な時代と言える。

初めのバブルがはじけた90年代初頭、私は歴史的、大局的な視点を持ち合わせぬまま構造改革を熱心に説く、米国かぶれの経済学者だった。冷戦が終わり、自由主義が正しかったという楽観が世間に漂っていた。日本の多くのエコノミストも時代の空気からは逃れられなかったように思う。