トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長との首脳会談を突如キャンセルした。その後に二転三転したものの、米朝会談は決裂する運命にあったといえる。理由は三つある。

一つ目は、双方が互いの動機を誤解していることだ。金氏は、北朝鮮が核抑止力を手に入れたことでトランプ氏を交渉の場に引きずり出すことができたと信じ込んでいた。一方の米国は、国際的な制裁圧力に屈した北朝鮮が、切羽詰まって米国の条件を受け入れるつもりになったと考えた。

韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は最近の融和路線の最大の功労者だ。が、図らずも米朝間の誤解に火をつけてしまった。北朝鮮に「最大限の圧力を加える」というトランプ氏の戦略のおかげで南北会談が実現した、との論法を文氏は用いた。米政権内の外交タカ派からの批判をかわす必要があったからである。

不運だったのは、文氏のレトリックが超タカ派を勢いづかせてしまったことだ。増長した強硬派はトランプ氏を説き伏せ、イラン核合意からの離脱を決断させた。米国がイランに対して経済制裁を再開すると表明したことは、金氏にとって次のことを意味していた。米国と何らかの合意を結んでも、政権が代わればいとも簡単に覆されかねない、ということである。