なかぞら・まな●1991年慶応義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所に入社。97年野村アセットマネジメントでクレジットアナリストに。社債や国債を分析。モルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券を経て、2008年10月からBNPパリバ証券クレジット調査部長。11年から現職。(撮影:尾形文繁)

4月25日に米国10年国債利回りは2013年12月以降で初めて3%を上回って引けた。この米国長期金利上昇が世界中からリスク回避のシグナルに見えたことは間違いなく、それ以降、すでに割高感が指摘されていた新興国通貨は全般に対ドルで下落が加速している。特に下落幅の大きいのがアルゼンチンペソである。

5月8日、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領がIMF(国際通貨基金)とのスタンドバイ協定(信用供与枠)の設定に向けた交渉の開始を発表。スタンドバイ協定は金額と支払時期に定めがなく、量的な経済目標を伴う定期的なレビューが行われる。融資プログラムが供与される場合には、財政赤字目標の設定および為替管理政策などIMFから厳しい条件を課される可能性が高い。国民に経済的な痛みを強いるのは必至であるが、政権支持率は発足以来最低の35.1%。国民の理解を得て、急場をしのげるかは不透明だ。

そもそも、アルゼンチンとIMFとの交渉自体が市場には驚きであった。アルゼンチンは14年に事実上の債務不履行に陥った後、16年にようやく国際資本市場に復帰、17年には100年債を発行するなど回復が見られたこともあり、窮状に陥ったことに気づかれていなかった。しかしアルゼンチンについては、もとよりいくつかの問題が指摘できる。