4月中旬、アジア太平洋地域の主要な社員を対象とする年次キックオフミーティングの開催に合わせ、レノボ・グループの楊元慶CEO(最高経営責任者)が来日。グローバル企業の経営に詳しい、早稲田大学大学院ビジネススクールの入山章栄准教授が直撃した。

年次ミーティングのスローガンは「ワンレノボ」。国籍も人種も多様な社員が、一丸となるよう呼びかけている(撮影:尾形文繁)

入山 アジア太平洋地域のキックオフミーティングは、ここ3年連続して、日本で開催しているそうですね。楊さんの希望と聞きましたが、どうしてですか。

 風光明媚で食事がおいしいというのは、言うまでもなく日本の魅力です。しかし私にとって最も重要なのは、日本企業の経営から学べることがまだまだたくさんあるということです。

ソニーの復活は非常に参考になる

入山 具体的にはどういった企業から学んでいますか。

 協業相手であるNECと富士通の両社がまさしくそうです。どちらも非常に優れたエレクトロニクス企業でしたからね。

そのほかにはソニーです。長く続いた経営の難局から脱却し、見事な復活を果たしました。巨大なグローバル企業がいかに変革を成し遂げればよいのかという点で、米マイクロソフトと同様に非常に参考になる事例だと思っています。

入山 レノボは今まさにビジネスのあり方を大きく変えるために、3ウエーブ戦略に取り組んでいます。この戦略についてあらためて教えてください。

レノボ・グループCEO 楊 元慶
ヤン・ユエンチン●1964年生まれ。89年レノボ入社。2001年CEO就任。08年に会長になった後、赤字転落した09年にCEO復帰。(撮影:尾形文繁)

 大まかに言うと二つのポイントがあります。一つ目は製品重視から、顧客重視に変わること。二つ目は、パソコン市場の世界的リーディング企業から、ビジネスを多元的に展開する企業へ転身すること。この二つを実現するための戦略が3ウエーブです。

3ウエーブといったときの第1の波は、パソコン事業での挑戦です。パソコンは市場そのものの成長性にはもはや限界が見えている。しかしそれがゆえに、業界再編のチャンスが潜んでいるのです。

成熟産業では、規模がコストと収益性を決定します。だからレノボだけでなく、富士通も事業統合を待ち望んでいたのです。富士通の事業部門を連結することによって、レノボは世界のパソコン市場でトップクラスの収益力を持つことになります。シェアにおいても首位を奪還するでしょう(編集部注・2017年は米HPに続く2位)。業界再編のチャンスをうまくつかまえれば、パソコンビジネスはまだまだわれわれに成長と収益をもたらしてくれます。