中国のパソコン大手レノボ・グループが、巨大企業ゆえの変革の難しさに直面している。その苦悩と克服へのチャレンジは、日本企業にも参考になりそうだ。

「超楽しい!」「映画がついに現実になった」──。アマゾンやベストバイなど、米国の小売りサイトに激賞レビューが並ぶのは、レノボが昨夏発表したAR(拡張現実)ゲーム『ジェダイ・チャレンジ』だ。

独自のARヘッドセット「ミラージュ」にスマートフォンを格納すると、現実空間に米ディズニーの人気映画『スター・ウォーズ』の悪役が出現する。プレーヤーは主人公になりきって、手元のコントローラーをライトセーバー(剣)として戦う。おなじみの悪役キャラの迫力と、コントローラーに伝わる衝撃で、ファンなら『スター・ウォーズ』の世界に没頭してしまうという。

AR(拡張現実)技術を使ったゲームは、レノボに再成長をもたらすか。出足は上々だが、真価が問われるのはこれからだ

ゲーム市場でレノボは新参者だ。家庭用ゲーム機ではソニー、任天堂、米マイクロソフトが盤石の3強。『ジェダイ・チャレンジ』のヒット程度で3社を脅かすことはできない。スマホアプリやインターネットゲームも加えれば、ゲーム産業における現在のレノボの存在感はゼロに等しい。

それでもレノボにとってこのチャレンジは、大きな意味を持つ。同ゲームの発売とほぼ同時期に、レノボは中期の経営戦略を打ち出した。主力のパソコン事業の規模・収益力強化、苦戦が続くスマホ事業とサーバー事業のテコ入れ、次世代型端末と関連のソフト事業での新領域開拓──を掲げた「3ウエーブ戦略」だ。ゲームはまさに第3の波の象徴であり、会社の命運を占う試金石なのだ。