5月14日の衆議院予算委員会に臨む麻生太郎副総理(左)と安倍晋三首相

安倍政治における言葉の無意味化については本欄でたびたび指摘してきた。しかし、病理は深刻になる一方である。5月14日の衆議院予算委員会で、国民民主党の玉木雄一郎共同代表が次のような重要な質問を行った。

「安倍晋三首相は『日米は百パーセント一体』と強調するが、米朝首脳会談において北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)の廃棄を約束すれば米国は本土への脅威がなくなったと満足し、手打ちを行う可能性がある。しかし、中近距離のミサイルが残されれば日本にとっての脅威は続く。この点について首相はどう考えるか」

玉木氏の質問のさなかに麻生太郎副総理がヤジを飛ばし、議場は騒然となった。その混乱の中で時間切れとなり、玉木氏の質問に安倍首相は答えないままに終わった。

痛いところを突く質問に対してヤジを飛ばしてうやむやに済ませるのは、議会政治の破壊である。小学校の学級会でも、議論のルールはもっとまじめに守っているだろう。このような人物を副総理に据える安倍内閣は、国会を学級崩壊状態に陥れた元凶である。

現憲法下では、野党議員の質問やメディアによる政権批判の言論を政府が力ずくで弾圧することはできない。わざわざ力を振るわなくても、相手をバカにし、聞かれたことに答えず、言葉の意味を崩壊させて議論を不可能にすれば、批判する側はしだいに疲れ、あほらしくなり、批判をやめるかもしれない。それこそが政府・与党の狙いだろう。これは安倍政権が発明した「21世紀型の言論弾圧」ということもできる。