たかい・ひろゆき●神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。非鉄金属本部で17年間、うち7年間は英国ロンドンで貴金属や、銅・アルミなどベースメタルの取引を担当。その後、金融事業本部長やエネルギー本部長を経て、住友商事グローバルリサーチ社長。2018年4月から現職。(撮影:梅谷秀司)

今年も5カ月が過ぎて、想定以上の原油高になっている。ブレント原油は5月半ばには一時1バレル当たり80ドルを超え、油価暴落の端緒となった2014年11月のOPEC(石油輸出国機構)総会からの下落幅をきれいに埋め戻した形となった。2~3年前に“Lower for longer”(長期化する原油安時代)と多くの石油アナリストが予想したが、これを大きく覆す展開となっている。

なぜ、こうなったのか。

米国がイランとの核合意から離脱して、経済制裁を復活させたため、イランの原油輸出量が減少するとの懸念が急浮上したことは、言うまでもない。しかしそれ以前に、いくつかの要因がある。苦境にあえぐベネズエラの大減産でサウジアラビアなど産油国の協調減産が効きすぎていること、世界的に好況で石油需要が想定外に強く、過剰在庫も当初目標を超えて急減していること、などだ。

IEA(国際エネルギー機関)は5月の月報で、石油需要は堅調に推移しており、今年の世界需要の伸びは日量140万バレル、年平均で日量9920万バレルになると予測している。世界供給は協調減産下でも4月時点で日量9800万バレルを維持するが、ベネズエラの生産が大幅減少したため産油国の減産順守率は172%にも達している。もし米国による制裁でイランの輸出量が減れば順守率はさらに上昇することになる。ただ、一方で米国シェールオイルは油価上昇を追い風に増産を続けており、協調減産を相殺する形となっている。

今後の油価を左右する変動要因は四つある。