【今週の眼】佐藤主光 一橋大学教授
さとう・もとひろ●1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

森友学園との国有地取引をめぐる公文書の改ざんや事務次官のセクハラ問題などをめぐり、財務省が揺れている。

政府は2025年度に基礎的財政収支を黒字化させる新たな財政再建の目標を立てた。しかし、財務省への不信感は消費税の再増税を含めて財政再建に悪影響を与えるという懸念がある。財務省は信用できないから財政再建にも賛同できない、という世論が高まりかねない。

もちろん、財政再建は財務省のために行うわけではない。財政再建の狙いは、財政の持続性を確保することによって、将来世代を含む国民が安心して生活できるよう、社会保障などへの不安を解消することにある。

もっとも、わが国では組織・個人の信用が重視されてきた。実際、内閣支持率の調査でも支持する・支持しない理由に「首相の人柄への信頼」を挙げる回答者が多い。「何(財政再建)をするか」より、「誰(財務省)がするか」が重要といえる。これを否定するわけではないが、信頼できる政治家や官僚なら、その誰かに政策を白紙委任してよいわけでもあるまい。ポピュリストの台頭を招き、わが国の民主主義自体を損なうことにもなりかねない。

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