日本では北朝鮮問題の報道に隠れて、米国のトランプ大統領がイランについて非常に重大な決断をしたことの意味が過小評価されている。日本の外交、経済に大きな影響を及ぼすこの問題について、筆者の率直な見立てを記すことにする。

5月8日、トランプ氏は2015年に米英仏独ロ中の6カ国とイランが結んだ核合意からの離脱を表明した。同時にこの合意に伴って解除した対イラン制裁を復活させる大統領令に署名した。〈トランプ氏は演説で合意について「中核部分に欠陥がある」と強調。さらに、「米国は核によってゆすられることはない」とした。/(中略)トランプ氏は(1)イランの弾道ミサイル開発規制が含まれていない(2)核開発の制限に期限がある──などを合意の「欠陥」として挙げていた。「修正」の期限を5月12日として、欧州側に対処を求めていた。英仏独が米国と協議を重ね、合意にとどまるように説得していた。〉(5月9日「朝日新聞デジタル」)。

トランプ氏は、この合意の中核的部分に欠陥があると指摘しているが、それは正しい。この合意では、イランのウラン濃縮技術が保全されるのみならず、軍関係施設への査察も制限されている。また、イランの弾道ミサイル開発規制が含まれていない。その意味で、この合意は、事実上、イランの核開発を容認する意味を持っていた。

イスラエルのネタニヤフ首相もトランプ氏の決定を歓迎した。〈イランと対立するイスラエルのネタニヤフ首相は8日、トランプ米大統領のイラン核合意離脱の発表直後に演説し、「(トランプ氏の)勇敢な決定を完全に支持する」と述べた。「核合意はイランの侵攻を劇的に増やし、それは中東地域全体で見られる」と、合意とそれを受けた制裁解除を改めて厳しく批判。トランプ氏の決定を「歴史的な動きだ」と称賛し、謝意を示した。〉(5月9日「朝日新聞デジタル」)。

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