5月に電撃訪朝したマイク・ポンペオ米国務長官(左)と、金正恩朝鮮労働党委員長(AFP=時事)

長きにわたって外交交渉をウォッチしてきたが、ここ最近の朝鮮半島情勢をめぐる関係国による首脳外交は、筆者の想像をはるかに超えるものだった。

表舞台での米朝接触は韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪(2月9〜25日)。開会式に出席したマイク・ペンス米副大統領と、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹・金与正(キムヨジョン)党第1副部長の“幻の会談”がその起点である。

それは報道された北朝鮮側からの要請ではなく、米側の働きかけによって準備されたものだ。だが、同月10日のソウル市内青瓦台(大統領府)でのペンス・金与正会談は土壇場でキャンセルされた。

注視すべきは、事前の非公式協議を米側で担った民間の外交政策ネットワーク(通称「トラック1.5」)の存在だ。この超党派組織を構築したのが、米国中央情報局(CIA)元次長のジョセフ・デトラニ氏である。

同メンバーにはブッシュ(父)政権、クリントン政権時代に対北朝鮮政策を担当した元高官が含まれ、昨年末までにオスロ、ジュネーブ、モスクワ、平壌(ピョンヤン)で北朝鮮側と極秘接触を繰り返していた。

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