地方や外科や救急の人手不足は変わらない

10年前に比べて、新しく誕生する医師数が格段に増えていることをご存じだろうか。

大学医学部の定員は、2007年度まで7625人に抑えられていた。それが18年度には9419人となり、実に1794人も増えたのだ。1医学部の定員は平均約115人なので、この10年で約16校分も新設されたのと同じになる。たった1校の新設で大問題となった加計学園の獣医学部(正式には岡山理科大学獣医学部)どころの騒ぎではない。

なぜ定員が増やされたのか。それは06年ごろから地方の医師不足や診療科間の医師偏在が顕在化し、一部の医師らから「医療崩壊」の危機が叫ばれたからだ。07年の「緊急医師確保対策」や08年の「安心と希望の医療確保ビジョン」などの政策に基づき、毎年のように臨時の定員増が図られた。さらに16年に東北医科薬科大学、17年に国際医療福祉大学医学部が新設され、日本の医学部は82校となった。

医師を増やせば、地方の病院や人手不足の診療科(外科、産婦人科、小児科、救急など)に医師が回るはずだと思うかもしれない。しかし、06年から16年までの10年間で4万人以上も増えたにもかかわらず、地方は相変わらず医師不足にあえぎ、産婦人科や外科の医師数もほぼ横ばいのままとなっている(厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」16年)。