台湾では若者に日本好きが多いが、お年寄りにも多い。1980年代にNHKがBS放送を始めた際、多くの台湾人がアンテナを立てて受信していた。これを違法だと指摘すると「俺は言われたとおり、(NHK本部の)渋谷区神南に受信料を送っている」と言う人までいて驚いた記憶がある。

彼らが好んだ番組の中で、印象に残っているのが大相撲中継だ。当時は日本語を理解できる人が多かった台湾で「相撲は日本の国技だろう」と言いながら、楽しそうにテレビに見入る姿は、日本のおじいさんと何ら変わらなかった。

先日、ある台湾人と一緒に相撲中継を見ていた。十両の取り組みを真剣に見ているので、よほどの相撲ファンかと思ったら、「この力士、先輩にいじめられてケガしただろう」と言う。例の暴行事件について、「昔から日本人は先輩後輩のけじめにうるさかったな」と言いながらも、「モンゴル人も同じなのかな」と首をかしげる。

「レスリング協会でもパワハラ問題があるでしょう。日本には『かわいがり』という独特の文化があるんだよね」と、日本人顔負けの日本語を繰り出してくる。さらに、相撲はなぜ柔道のように国際化しないのか、なぜ日本の国技なのにモンゴル人ばかりが上位にいるのかなどについても、「相撲は国技とされ、いろいろと縛りが多すぎて、それを支えられなくなっているんだよね」と明快に解説され、返す言葉がなかった。