もりた・ちょうたろう●慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

生命保険会社、銀行、年金基金といった機関投資家の資金運用にとって、国内債券は主食のようなものだとよくいわれる。中でも国債は中心となる白米で、公共債や社債は五穀米か玄米のようなものかもしれない。人はこれら主食に、おかずやみそ汁、漬物などの副食を併せて食べることで栄養バランスが取れ、健康を維持することができる。資産運用の場合、副食は外国債、株式、REIT(不動産投資信託)、オルタナティブ商品などである。

主食である国内債券の金利は低下が進んで久しく、金利が低すぎて運用に困る(=主食が食べられない)という話は、随分と前から聞かれていた。かつて6%以上もあった長期金利(10年物国債の利回り)が急速に低下して3%を割り込んだのは、20年以上も前の1995年のことで、当時も「金利が低すぎる」といわれたものである。3%は現在では信じられないような高金利なのであるが。

運用者にとって、過去の高い金利水準の記憶が新しければ、若干低下した程度でも不満に感じるものである。しかし、低下した水準が長期化してくれば、段々と慣れてくる。それでも、ゼロ%強しかない現状の長期金利を十分だと考える投資家は少ないだろう。では、客観的に運用者が十分だと感じられる長期金利の水準とはいったいどの程度なのだろうか。