イラスト:関 祐子

「論理を身に付けることは、自分の物事の見方を外側へ広げていくことだ」

東進ハイスクールなどの予備校で長年、現代文を指導してきた出口汪氏はそう話す。論理とは、自分の考えを正確に理解してもらうため、相手に対して筋道を立てて伝える技術のことだ。

現代文講師 水王舎 代表取締役 出口 汪
でぐち・ひろし●関西学院大学大学院文学研究科博士課程修了。教材開発・出版を目的とした水王舎を設立。論理文章能力検定評議員なども務める。(撮影:田所千代美)

出口氏は著書『出口式 親子で学ぶ はじめての論理国語』(下写真)の中で、「身内を意識すると言葉は省略に向かい、他人を意識すると言葉は論理に向かう」と説明している。知っている人同士であれば、ある程度言葉を省いても意味は通じる。だが、初めて会った人に自分の思いや考え方を正しく伝えようとするときは、身内同士のやり取りと同じでは通じない。

会話だけでなく、読書でも論理を意識することは重要だ。本に書かれていることを理解しようとせず(=相手の立場を考えない)、自分にはわからないところは飛ばして、好きなように意味をつなげて読む。こうしたやり方を続けると、本との“対話”が成立せず、一方通行になってしまう。

論理とは、異なる文化的背景を持つ人と交わるコミュニケーション力の基礎となるものだが、日本の国語の授業では十分には教えられてこなかった。

親が子どもに論理を教えることで、親の論理力も磨かれるという(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

論理の習得は、家庭で幼い頃から始めるべき

出口氏は、論理は時間をかけて身に付けていくもので、小学校低学年までにある程度の語彙力を持ち、家庭の会話で正しく受け答えができるようになっておくことが望ましいと言う。高校生になってからだと、「それまでにしみ付いた物事の考え方を変えて、論理を一から身に付けるのは大変。その点、頭が真っさらな状態の小学生になら、焦らずにゆっくり論理を教えることができる」(出口氏)。

本パートでは、前述の著書を基に、家庭で親が小学生の子どもと一緒にできる問題を紹介する。

基礎編では、子どもが単語を省略せずに主語と述語を用いて、伝えたい内容を要点を絞って説明することが狙いだ。自分がしたいことを、「なぜなら」という接続語を用いて、理由を話してもらうことも重要になる。