【今週の眼】小峰隆夫 大正大学地域創生学部教授
こみね・たかお●1947年生まれ。東京大学卒。経済企画庁経済研究所長、物価局長、調査局長、国土交通省国土計画局長などを経て、2017年4月から現職。日本経済研究センター理事・研究顧問も務める。著書に『人口負荷社会』『日本経済論の罪と罰』『政権交代の経済学』など。(撮影:尾形文繁)

私が長い間抱き続けている疑問の一つは、日本ではなぜこれほど経済対策(景気対策)と称する財政出動が繰り返されるのかということだ。

ざっと計算したところ、1990年以降、昨年までの経済対策の事業規模合計は優に400兆円を超える。これには金融措置など水増し的な部分も含まれており、すべて政府の歳出増加になったわけではないが、「それだけのおカネを使えばもっといろいろなことができたのではないか」「これがなければ現在の財政赤字はそうとう減っていたはずだ」と考えてしまう。政府はかなり巨額の機会費用を払って経済対策を繰り返してきたといえる。

先進諸国の中で、これほど頻繁に、かつ巨額の経済対策を実行してきた国はない。現在は戦後2番目の長期景気拡大中なのだから、経済対策は必要ないように思われる。しかしそれでも2016年8月には事業規模28.1兆円の経済対策が決定された。19年10月の消費税率引き上げに伴う経済変動を財政で平準化すべきだという議論が出るほどだから、これからも経済対策は繰り返されそうである。その理由として私が思いつくのは次のようなものだ。

第一は、これだけ繰り返されるということは、これに関係する経済主体がそれを好意的に評価しているのだと考えざるをえない。まず政府・与党は、これによって「政策を実行しています」というPRができる。さらにいえば、これら経済対策が年度後半に、補正予算の編成と併せて行われる場合が多いことから、当初予算の縛りを逃れて歳出を増やせる機会として活用されているともいえる。