なかぞら・まな●1991年慶応義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所に入社。97年野村アセットマネジメントでクレジットアナリストに。社債や国債を分析。モルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券を経て、2008年10月からBNPパリバ証券クレジット調査部長。11年から現職。(撮影:尾形文繁)

米中貿易摩擦への懸念が高まれば株価は暴落、後退すれば続伸──。貿易摩擦は足元の株価を大きく動かす要因となっている。金融市場の今後の動向を探るには、貿易摩擦についてシナリオを想定しておくことが短期的には有益といえる。

シナリオは三つ想定できる。

第一は米中間のマイルドな関税の導入で、実現の確率は70%。トランプ米大統領の思惑は、中国国内市場に進出する際の強制的な技術移転をやめさせ、知的財産権保護に関する規則を厳密に順守させることにより、2国間の貿易不均衡を縮小することだ。一方、中国は自国市場へのアクセスの見返りに技術移転を義務づける措置の撤廃を決めるなど、国内市場の開放で譲歩を始めている。最終的には中国が穏やかに譲歩しながら貿易戦争を回避するというシナリオだ。

第二は貿易戦争になるというシナリオで、確率は20%。米国が多面的な関税引き上げと投資規制を導入し、中国がこれに報復、各国も対抗措置を取る。世界の貿易の拡大ペースが劇的に低下し、先行きは世界的な景気後退となる。