1994年の社長就任以降、絶大なリーダーシップでダイキン工業のグローバル戦略を推し進めたのが井上礼之会長。M&Aを含めた海外での強さの秘訣や今後の課題を聞いた。

ダイキン工業 会長 井上礼之
いのうえ・のりゆき●1935年生まれ、57年入社。主に人事畑を歩み空調事業の経験がないまま94年社長に就任、海外展開を本格化させた。2002年会長兼CEO、14年から現職。(撮影:今井康一)

──日本の電機メーカーが海外で苦戦する中、ダイキンが成功しているのはなぜでしょう。

全体最適、世界全体のことを考えながら、地域に密着した愚直な戦略と実行を積み重ねた結果ではないか。現在、従業員約7万人の82%が外国人。連結子会社約310社のうち海外が約280社で、その52%が外国人トップだ。

各地でマネジャーミーティングというものをやっている。現地の人に言いたいことを全部言ってもらい、こちらは何も言わないで聴き、必要なことはその場で結論を出している。

現場の「泥水の情報」がわれわれの元に来るまでに「真水の情報」になってしまったら、間違った情報を基に経営判断を下すことになる。泥水が泥水のまま上がってくるには、現場と経営をつなぐブリッジパーソンが必要になる。

──泥水の重要性をわかっていても真水になってしまいがちです。

難しい質問やね。組織を通じたフォーマルなものだけでは絶対に上がってこない情報がある。それがインフォーマル、ダイレクトだとスムーズに入ってくる。労働組合や若手との交流の場などでいろんな人と雑談することが大事だ。

もう一つ、挑戦した結果の失敗なら、教育訓練費と考えてとがめない。ただこれは好業績だからできている面もあるが……。

お互いに成長するため買収先に権限持たせる