有料会員限定

ただの軍閥ボスではない 山県有朋の再評価 優れた国際感覚を備えた保守政治家

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 最新
拡大
縮小
山県有朋(左)は盟友・伊藤博文と連携し対中強硬論を抑制(写真左:アフロ、写真右:近現代 / アフロ)

特集「目からウロコの日本史再入門」の他の記事を読む

欧米列強から中国を守ることを主張してきた明治以来のアジア主義者たちは、1937(昭和12)年7月に始まるその中国との全面戦争により、深い挫折感を味わわされた。立憲政友会の大物政治家・小川平吉は大久保利通と伊藤博文の不在を、そして右翼の巨頭である頭山満(とうやまみつる)は山県有朋の不在を嘆いた。

大久保利通は1874(明治7)年に日本の台湾出兵で険悪化した中国との関係を、自ら北京に乗り込んで打開した。台湾出兵は近代日本が領土や特殊権益の獲得を目指して対外進出を試みた最初の行動であり、明治初期における最大の対外危機であった。政府内外の強硬論者を抑え込んだ大久保の英断を陸軍卿(大臣)として支持したのが、山県有朋であった。山県は、当時の日本には中国と一戦する力がないことを、政府内部で強く主張したのである。

その11年後の85年に、政府内外の強硬論を抑え自ら天津に赴いて中国との衝突を回避したのは伊藤博文であったが、その背後にも山県がいた。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
目からウロコの日本史再入門
有力大学の日本史入試問題
「なぜ」を考えさせる東大論述式
基本書から最新の研究まで50冊を厳選
敗戦直後の「戦争調査会」
大政翼賛会を招いた政党政治の未熟
優れた国際感覚を備えた保守政治家
将軍も諸藩も「公武合体」は自明だった
叩き上げでも勘定奉行になれた
事態が長期化した南北朝時代
»»第弐章 日本史の「深層」を探る
有業者のわずか5%
歴代8人の女性天皇が存在
『南洲翁遺訓』の放つ存在感
東大名誉教授 三谷博が教える
歴史通 出口治明が選んだ
テレビでもおなじみ 本郷和人が語る
元教科書調査官・高橋秀樹が教える日本史の新解釈
»»第壱章 驚きの日本史再発見
目からウロコの日本史再入門
こんなに変わった歴史教科書
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内