機関投資家や年金基金が環境や社会とのかかわりや企業統治のあり方に着目して投資を行うESG投資が、世界的に広がっている。国連が定めた「責任投資原則」に署名した金融機関の数は1700を超えている。環境分野では、2015年のパリ協定採択を受けて、企業による「脱炭素化」への取り組みが問われるようになっている。ESG投資に特化する米国の資産運用会社・ボストン・コモン・アセット・マネジメントの幹部に聞いた。

Lauren Compere●社会的責任投資分野で約30年の経験を有し、この分野のオピニオンリーダーの1人。米ハフポストでコラムを執筆。ボストン・コモン社の運用規模は約3000億円。

──ボストン・コモンが今年2月に発表した報告書で、パリ協定での「2度目標」(地球の平均気温上昇を産業革命前に比べ2度以内に抑える)を達成するには銀行の役割が重要であるにもかかわらず、その取り組みが不十分であると指摘しています。

世界の大手銀行による取り組みは(以前と比べると)進んではいる。気候変動によって企業が被るリスクの分析も始まっている。しかし、銀行のトップから、気候変動問題への包括的な視点や対処方針が明確に打ち出されていないケースが多い。融資先企業に脱炭素化を促したり、炭素排出量の多い企業向け融資を削減したりする取り組みも不十分だ。

主要国の財政・金融当局、中央銀行が設立した金融安定理事会(FSB)による「気候関連財務情報開示タスクフォース」は、17年に最終報告書をまとめた。気候変動が経営にどう影響するかについての情報開示のあり方が示されている。こうしたガイドラインができたことで、銀行や事業会社には前向きな対応を期待したい。