2017年11月、ブロードコムのホック・タンCEOは本社を米国に戻すことを発表。トランプ大統領との関係は良好に思えたが…(AFP/アフロ)

半導体業界で史上最大規模の買収は、意外な形で白紙に戻った。2017年11月に発表された米ブロードコムによる同業の米クアルコムの買収について、米国のトランプ大統領は3月12日、大統領令を出して阻止した。

その理由は「国家安全保障上の懸念」。米国は中国を仮想敵と見て強く意識する。それは、買収阻止を主導した対米外国投資委員会(CFIUS)の書簡からもうかがえる。ポイントとなるのは、超高速無線通信「第5世代(5G)」分野での米中間の覇権争いだ。

今回の案件に中国企業は直接関わっていない。だが、書簡では、ブロードコムの短期的な利益追求で、クアルコムの投資が停滞し、米国が5Gで中国に後れを取ることが懸念されている。

5Gでは規格の標準化をめぐり、米中企業の競争が激化。米国では、通信用半導体技術を中心にクアルコムが競争をリードする。一方、中国では、ネットワークインフラに強みを持つファーウェイ(華為技術)が軸となり、5Gの覇権を狙う。

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