困窮する子どもたちを救い、貧困の連鎖を食い止めるには何をすればよいのか。貧困問題解決に長年携わってきた社会活動家の湯浅誠氏と、教育行政を担ってきた前文部科学事務次官の前川喜平氏に、問題解決への処方箋を提示してもらった。

まえかわ・きへい●1955年生まれ。東京大学法学部卒業後、旧文部省入省。初等中等教育局長などを経て2016年事務次官。17年1月、天下り斡旋問題で辞任。
ゆあさ・まこと●1969年生まれ。95年東京大学法学部卒業。2008年末の年越し派遣村の村長、09年内閣府参与などを経て現職。
(撮影:今井康一)

──銀座・泰明小学校の「アルマーニ標準服」は公立小にも格差があることを浮き彫りにしました。お二人はどう感じていますか。

前川 公立学校がやることとは思えず、全然理解できない。一定の特色を出すのはいいが、ああいう出し方ではいけないと思う。

湯浅 東京は日本一格差の大きな街だ。中央区にも生活が苦しい家庭の子がいるはずだし、家計が急変することもある。みんなを受け入れるべき公立校としてどう考えたのか。今回の行いは疑問だ。

前川 泰明小は特認校(中央区全域から入学可能)で、毎日銀座へ通学するという点でブランド化を図ろうとしたのかもしれない。

特認校制や自由選択制のような学校選択制は、東京でも23区それぞれで考え方が分かれている。選択を認めることで競争が起こり、全体の質が高まるという考え方と、学校にその地域の保護者や住民が参画する仕組みを作ることが大事という地域重視の考え方が、この20年間つねに対峙している。

文部科学省は地域重視のスタンスだ。学校選択制は親が子どもにとってよいと思う教育を選ぶことになるが、そうすると中学受験で有利な国語、算数、社会、理科しかやらない学校の評価が高くなる。しかし親の考えていることがつねに正しいとは限らない。

子どもにとって最も望ましい学習は、親だけではなく教師も含めて一緒に考えていくもの。学校選択制によって教育の公共性が失われるのは非常に問題だというのが文科省の考え方だ。学校選択制を完全に否定するわけではないが、格差を大きくする危険性はある。

家庭の文化資本に違い 小学校入学前に学力の差

──貧困の現場を見続けてきた湯浅さんは、子どもの貧困の実態をどう分析していますか。

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