企業決算を監査する公認会計士が不足しているとの声がある一方で、やがて監査業務の多くがAI(人工知能)に取って代わられるという見方もある。日本公認会計士協会の関根愛子会長に聞いた。

せきね・あいこ●1958年生まれ。早稲田大学数学科卒。外資系銀行を経て公認会計士に。あらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)パートナーを経て、2016年7月から現職。(撮影:梅谷秀司)

──会計士協会が実施したアンケート調査では会計士の不足を指摘する声が少なくありません。

会計監査の品質に対する厳しい要求がある中、品質の維持・向上のためにすべき作業は多くなり、会計士が不足している。監査においては企業実態を理解し、その抱えるリスクを考え、財務諸表に適正に表示されているかを検討することが重要だ。ところが準備のための単純作業が増えているにもかかわらず、会計士の数が追いつかず、洞察に充てる時間が少なくなりがちだ。このままでは、優秀な会計士は育たないおそれがある。

会計士の数は国際会計士連盟加盟団体の中で20番目前後だ。経済規模は世界3位であることを考えるとまだ少ない。

──2000年代、会計士試験に合格しても監査法人に就職できなかった時代があり、「会計士は食えない士業」というイメージがあります。

食えない士業というのは誤った認識だ。試験合格後に監査法人に入所できない人が多かった頃のイメージが強いのだろうが、活躍のフィールドも事業会社の経理、企画、CFO(最高財務責任者)、税務やコンサルティングなど多岐にわたっている。転職も含め、売り手市場だ。若手会計士が早い段階で次の活躍のフィールドを目指すことも、監査の現場における人手不足の一因となっている。