ささき・とおる●2015年6月から現職。03年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストとして金融市場を調査・分析。その前は日本銀行に勤務、調査統計局などを経て、国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当、ニューヨークで米国金融市場分析も担当した。(撮影:今 祥雄)

今年第1四半期(1~3月)の為替相場は円の独歩高となった。円は主要通貨の中で2番目に強かったノルウェー・クローネに対しても1%以上上昇し、主要10通貨中4番目に弱かった米ドルに対しては5%以上上昇した。円の名目実効レート(主要な複数の通貨の中での相対的な実力を見る指標)は4.0%上昇。これで5年連続して第1四半期は実効レートベースで円高となった。

1月に米国長期金利が急上昇し、2月に入ると米国株価急落を発端に世界的に株価が大きく下げた。そのため、投資家がリスク回避姿勢となり、円を買い戻す動きが広がった。このほか、米国トランプ政権が保護主義志向を強めたこと、トランプ政権内の人事の混乱、日本銀行が金融政策正常化に向かうとの思惑の台頭、森友学園問題に絡んだ安倍内閣支持率の急落などが市場の心理を急速に冷やしたことも円買い戻しにつながったと考えられる。