「一億総中流」「貧困は自己責任」という意識の下、長年放置された格差は、アンダークラスという900万人を超える分厚い層を生み出した。その生活を直視すると、日本社会の抱える暗部が浮き彫りになる。

「給料は生活保護に 毛が生えた程度だ」

──33歳 男性/中古書店店員

4月に入り、長年、愛好してきたたばこ「わかば」をやめた。一箱の価格が320円から360円へと上がったためだ。大阪市内の中古本販売店で働くマモルさん(33、仮名)は、「最近の勤め先はどこも最低賃金レベルなので」と言う。

問題は低賃金だけではない。非正規雇用の理不尽さを痛感したのは、あるレンタルDVD店でアルバイトをしていた5年ほど前のこと。週48時間の勤務を突然8時間に減らされたのだ。

社会保険も、交通費支給もない、法的には問題のある職場だったが、毎月の手取りは約15万円で、暮らしていくことはできた。勤続3年目。中古品の買い取り対応もできる数少ないスタッフだったし、人気ゲームソフトの発売日で人手が必要なときなどには進んでシフトに入ってきた。店で唯一の正社員である店長からも「次はバイトリーダーに」と言われていた。

ただ一つだけ、この店長による、辞めさせたいアルバイトの勤務時間を減らしては退職に追い込むという手法に違和感があった。だから、そのことについて意見をしたところ、今度は自分が大幅に勤務時間を減らされてしまった。

「やんわりと伝えたつもりだったのですが、生意気だと受け止められてしまったみたいです」

雇用の調整弁にされがちな非正規労働者だが、何をしても許されるわけではない。さすがに腹に据えかね、ユニオン(労働組合)に加入。和解金を得たが、最後まで会社側からの謝罪はなかった。

大学卒業後に就職したが仕事になじめなかった