トランプ米大統領のパフォーマンスに世界が振り回されている。3月22日、トランプ氏は「中国が米国の知的財産権を侵害している」として通商法301条(外国による不公正な貿易慣行に対する制裁措置)に基づき、中国からの幅広い輸入品目(500億~600億ドル相当)に高い関税を課すと発表した。中国側も駐米大使が米国債の購入減額をにおわせるなど、受けて立つ構えを見せた。同日のNYダウ平均株価は終値で724ドルの大幅下落、23日も424ドルの下げと続落した。

しかし、米国のスティーブン・ムニューシン財務長官と中国の劉鶴副首相が通商交渉を開始したことが伝えられると、26日にはNYダウが669ドル上昇した。

適温相場の終焉 市場の動揺は続く

米国経済は戦後、1950年代を除き貿易赤字で、借金をして消費する経済構造だ。消費がGDPの7割を占め、高関税や輸入制限は物価全般を押し上げるため、経済全体にはマイナス。だが、トランプ氏は自らの支持基盤であるラストベルト(さび付いた工業地帯)の白人労働者の期待に応えればよいと考えている。

トランプ氏は「貿易戦争はよいことだし楽勝だ」とご機嫌だ。通商政策は大統領に決定権があるうえ、自由貿易主義者として貿易戦争に反対してきたゲイリー・コーンNEC(国家経済会議)委員長が辞任し、やりたい放題になっている。トランプ氏は「TPP(環太平洋経済連携協定)のような多国間の枠組みでなく、2国間で交渉すべきだ」と主張してきた。今回は中国を交渉のテーブルに引っ張り出すことに成功し「みんなハッピーだ」とツイートした。