紙巻きたばこに比べ、煙がなく害が少ないとされる加熱式たばこ。だが、本当に害が少ないのだろうか。国立がん研究センターやWHO(世界保健機関)で長年たばこ問題に取り組んできた望月友美子氏に聞いた。

もちづき・ゆみこ●1955年生まれ。医師、医学博士。東大薬学卒、慶大医卒。WHOたばこ規制部長、国立がん研究センターたばこ政策支援部長などを歴任。2016年から現職、禁煙推進などを担当。(撮影:梅谷秀司)

──日本で害が少ないとして販売されている米フィリップモリス社の加熱式たばこは、米国でリスク修正たばこ製品(リスクが相対的に低い製品)として申請されました。しかし、FDA(米国食品医薬品局)の審議会は科学的根拠の不足を理由に却下しました。

たばこ製品はすべて「ニコチンを脳に送達する装置」であり、燃焼式(紙巻き)でも加熱式でも本質は同じ。ニコチンは、毒物及び劇物取締法の指定物質で、血管の収縮により血圧を上昇させ、血管の内皮細胞や肺胞細胞を傷つける。アルカロイド(神経に作用する毒性を持つ物質)の一種で依存性があり、妊婦の喫煙では低体重児などのリスクが高い。FDAの判断は極めて妥当だ。