「うちの子に限って、そんなことをするはずがありません!」。私が子供の頃は、このせりふを盾に同級生の親や担任の先生と激しくぶつかっている母親をよく目にした。

残念ながら、私の母親は自分の息子が「そんなこと」をすると正しく理解していたので使えなかった。だが、「うちの子に限って」は、わが子を盲目的に擁護してしまうダメ親、今でいうモンスターペアレントの決めぜりふとして、確たる力を持っていた。

それも時代の流れの中に埋もれ、いつしか使われなくなった。今では死語に近い物言いだろう。

当時は、ダメ親が使う言葉の典型だと私も認識していたが、実は「いい言葉じゃないか」と思い始めている。というのは、最近、性悪説に取りつかれ、成長を待てず、ささいな失敗も許せず、やたらと部下を疑っている経営者を目の当たりにしたからである。