宮崎市定「中国を叱る」は、筆者がこよなく愛読してきたエッセイである。1980年代の中国の対外政策を批判し、中国に「心して自国の歴史を読め」と叱責してしめくくる文章は、痛快無比というほかない。

以下は、宮崎先生の「わたしの直言」と題する評論にある説明で、いっそう趣旨がわかりやすい。いずれもエッセイ集『遊心譜』(中公文庫、2001年)で読める。

「中国は古来、東亜における随一の大国であり、必然的に周囲の諸小国の上に立ち、宗主国としてその上に君臨した。併しこれは単にその武力を背景として、諸国を威服した為ばかりではない。周辺国を朝貢国として服従させるには、やはり大国は大国としての襟度を示さねばならなかったのである。……自らが紛争を起こしてはならない。若しも紛争が生じた時には、大国が小国に対して譲歩すべきである。」