オスロ市内は路面電車が走り、EVは全体の1割といった感じ

優遇政策でCO2ゼロに 電気航空機も一番狙う

「ノルウェーの電気自動車(EV)市場は2013年にテスラが発売されるまで、ニッサンリーフの天下だったんだよ」

異例の大寒波が欧州を襲った3月初旬、ノルウェーの首都オスロ中央駅のスターバックス。記者が30代のノルウェー人男性のグループとEVの話で盛り上がっていると、そのうちの一人が「残念だ」と言わんばかりにそう話してきた。

17年、ノルウェーは新車販売で快挙をやってのけた。EVとハイブリッド車の合計販売台数が、全体の50%超に達したのだ。EVのみでは約21%。日本や米中英仏など、ほとんどの国は1%前後にすぎない。ノルウェー政府の目標は、25年までにゼロエミッション(走行中に二酸化炭素〈CO2〉排出ゼロ)車の新車販売比率を100%にすること。40年以降のガソリン車とディーゼル車の販売を禁止した英仏より、実に15年も早い。

脱炭素の先鋭ぶりはそれにとどまらない。雪と雨による豊富な水と、フィヨルドの地形を生かし、国内電力の約98%は水力発電が賄う。発電ではほぼ脱炭素化を実現済み。パリ協定(温暖化対策の国際枠組み)は今世紀後半に世界全体で実質的なCO2排出をゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指すが、ノルウェー政府の目標時期はなんと30年だ。

その一方で、ノルウェーは北海油田を基盤とする欧州屈指の産油国(輸出額は石油が世界16位、天然ガスが3位、15年)という顔も持つ。今後もCO2排出量が比較的少ない天然ガスを主体に、化石燃料の生産・輸出に注力していく。

だが、その化石燃料販売で得た資金で運用する政府年金基金は、CO2排出量の多い石炭(採掘や発電を行う事業や企業)からの投資撤退をいち早く決め、金融界の脱炭素化の動きで最先端を走る。

ノルウェーはなぜ脱炭素化を進められるのか。「世界のEV首都」と呼ばれるオスロで実情を探った。

オスロ市内の目抜き通り。奥に見えるのが宮殿。2019年に車の乗り入れが禁止となる予定

EV

EVを買わねば損? 至れり尽くせりの優遇策